異世界ものラノベではずれを引いた話

異世界ものと一口に言うけれども古いものだとダンバインとかエスカフローネ

なんかが思い浮かぶ私です。最近の異世界ものは大体”小説家になろう”サイトの

連載から始まり単行本、コミックスを経てアニメ化したりしてますね。

そんな”なろう系”ラノベkindleで探してiPhoneで寝っ転がりながら読んだり

している訳ですが、ここに来て初めて「あー買って失敗したな」と思った

作品を引いたのでつらつらと書いていきます。

 

その作品はこちら『異世界薬局』

 

異世界薬局 1 (MFブックス)

異世界薬局 1 (MFブックス)

 

 kindleラノベでお勧め商品を眺めていて表紙で引かれて、レビューもそれなりに

評価が高かったので買って2巻まで読み進めて見ましたが続きを読むのを断念しました。

あらすじは日本のT大学大学院の助教授で世界の最先端の薬学研究を進める31歳独身

男性が連日連夜の徹夜and泊まり込みで、あえなく過労死して目が覚めたら異世界の

少年に転生したと言うもの。この主人公は世界のあらゆる病魔を駆逐したいという、

本間丈太郎先生の言葉を借りるなら”おこがましい”考えを持って研究していました。

その根底にあるものは幼い頃に脳腫瘍によって亡くなった妹のような患者を無くしたい

という思いであるとかなんとか、そんな設定の主人公であります。

 

さてそんな異世界薬局ですが私が読むのを断念した理由は、”なろう系”ではよくあると言われながら今まで読んだ作品ではそれほど感じなかった不自然なまでの都合の良さと主要キャラクター達以外の能力の低さ、さらに主人公の人格設定破綻でした。

主人公は一応の制限はあるものの、異世界で最強とされる人物をはるかに上回るまさしく神の力を持っています。そして神の力を持つ特徴としてなのか分かりませんが影が出来ない体質になっています。しかしその事に気づいたのはヒロインの一人である家庭教師と旅行先でたまたま見られた孤児院の子供だけです。また主人公は10歳の少年に転生した訳ですが、その少年の記憶はなんとなく体が覚えている程度でほぼ失われており

家族も以前とは別人の様だと思いつつも、(転生の際に)雷に撃たれたのだからそういう事もあるだろうと特に問題視しません。

この程度ならば物語の設定としてならば許容範囲だと思っていましたが読み進めていく内にいよいよ限界を迎えます。主人公は前世でも世界の病魔を駆逐するべく研究しており、この世界でも病気に苦しむ人々を救おうと決心したような描写がありますが、実際にやったことと言えば自ら経営する小さな薬局を開くだけ。その薬局を開くにあたり女帝の不治の病を治して命の恩人扱いされていますが褒美はいらないなんて事を言って

女帝の部下が無理やり望みを聞き出そうとした時にぽろっと薬局をやりたいなんて事を漏らしており、それを汲んだ女帝が作らせるのですが流されるまま薬局の店主に収まってしまいます。

このあたりが私が主人公の人格設定破綻だと思う部分で、前世では研究ばかりで実際の患者に向き合えなかったんじゃないかと思っている描写があるので一見すれば街の薬局なら患者一人一人と直に触れ合えるからいい様に思えますが、本当に世界の病魔を駆逐したいと考えているなら前世と同じように新薬の研究開発や製造販売をする体制を整えるべきです。街の1薬局で出来る事は限られており世界を変えようと思うなら国を巻き込んだ大きな流れを作らなければならないという事は大学の助教授であった主人公なら当然に思い至るはずなのですが、それっぽい動きはほんの少しずつしか進めていません。せっかく女帝の命の恩人という地位を得て権力と財力をかなりの自由度で振るえるのにやっている事は街の薬局。本当に世界を変える意思があるんでしょうか?

 

結局の所、主人公は目に見える感謝が欲しくて街の薬局をやっているのでしょう。

患者に向き合うだの耳障りの良い言葉で繕っても感謝と尊敬が欲しかったんだという事がこの薬局経営によりわかってしまいます。それ自体は悪い事ではなくむしろ健全な一般市民の感覚です。ですが主人公は世界の病魔を駆逐したいと願って研究していたはずなのに、それが出来る状況にあるのにごく普通の日常を送っています。

この理想と現実の乖離を思い悩んだりしてれば話も深まろうかと思いますがそんな事はなく、順調に薬局経営を進めて2号店や系列店も作っています。世界の病気に苦しむ人々はどうなっているんでしょうかね?

 

と言うような諸々の矛盾に嫌気が差したのでこの『異世界薬局』は2巻の途中までで

終了と致します。次はもう少ししっかりとレビューを読み込んではずれを引かない様にしたいですね。